1月17日(土)

Date 2004.01.16 AM 02:24 No.7「帰り道」

 触れないでいて欲しい。
その膿色をした、汗と脂でベタつくキーボードをネバネバと叩く指で。

 色褪せた、カマキリの腹のような爪でカリカリと畳をかくことしかできない死にかけた老人が。ただ一つ手に握るのは孫の喜ぶ顔が見たいため。
きっとその子は、それら幼い子だけがもつ無意識の殺意を込めて言うだろう。
触れないでいて欲しい。
汗と脂でベタつく大きな硬貨を与えてしまえば致命傷、我々に為すすべは無し!息の根を止める。

〜暗転〜

・明るい+明るい→陽射し。土曜日に、午前中だけの授業を終え、お腹を空かせて帰る小学生の陽射し。

 昔々のある晴れた日曜日、森と湖と芝生がたっくさんある大きな公園に行きました。もちろん、お父さんやお母さんやお姉ちゃん、それに一番大事なお友達のスヌーピー人形も一緒です。
その日はとても楽しい一日でした。芝生に座ってソフトクリームを食べました。「くりふらん」という、大きなおかしを初めて食べました。僕は半分ぐらいしか食べられなくて、残りはお父さんに食べてもらいました。
まだまだ世界は明るく穏やかだったけれど、夕暮れは近くて、夏の風は2℃程温度を下げている様子でした。一日中走り回って汗をびっしょりかいた僕は、まだ暖かい陽射しの中であろうとも為すすべは無し!
みんなの後をキョロキョロと名残惜しそうに辺りを見回しながらついていくと、曲がり角の前に一軒の売店がありました。お店の前には白くて丸くて誰かがこぼしたジュースでベタつくテーブル、それに合わせた同じ色の椅子。小さな赤ん坊を連れたライオンのたてがみをもつ屈強な女とその夫と思われるシマウマ。色とりどりの人々。チューインガムを買うおじいさん。チューインガムをたたき落とす制服姿の男。見上げるおじいさん。怒鳴りつける制服。拾い上げる制服。フルフルと両手を差し出すおじいさん。顔面に突きつけ説教する制服。

まだ、日は高いな。
日は高く、風は冷たさを増している。僕はそう思い、すごく先の方を歩いている家族達に追いつこうと駆け出しました。